　西光寺丸城　　No18404－03

（さいこうじまるじょう）　　　　　　　


主郭	南端の堀切

◆ 城郭の概要　　　　　　　　　　　　　　　　　　

別　名：

所在地：南条郡南越前町(今庄町)二ツ屋木ノ芽峠

築城年：永禄12年（1569）

形　式：山城

遺　構：土塁、堀切、横堀、竪堀、虎口、

訪城日：平成22年4月18日

◆ 歴　　史

西光寺丸城は､永禄12年(1569)織田信長の越前侵攻に備え朝倉義景が木ノ芽峠城塞群の一つとして築いたとされる。
天正元年(1573)義景は信長が包囲する小谷城の浅井長政を救援すべく近江柳ケ瀬まで出陣したが､先方が敗退し義景は越前へと退却する。
しかし､江越国境の刀根坂で追撃してきた信長軍に追いつかれ､義景は兵力の大部分を失う大敗を喫し､辛うじて敦賀から木ノ芽峠を越え府中､一乗谷へと逃げ帰った。一乗谷に入った義景は､大野郡司朝倉景鏡の勧めにより大野へ退いたが､景鏡の裏切りを知り､大野郡山田荘の六坊賢松寺で自刃して果てた。
天正2年(1574)一向一揆が蜂起し､信長から越前支配を任された降将の守護代桂田長俊(前波吉継)を一乗谷に攻め滅ぼし､越前の織田勢力を次々と駆逐した。木ノ芽峠城も一向一揆に包囲され番将･堀次郎の陣代樋口三郎兵衛は一揆方と和睦して城を明け渡した。
天正3年（1575）8月信長は再び10万余の軍勢を整えて越前に侵攻､これに対し一揆方は木ノ芽峠城に大将の下間頼照､西光寺丸城に本覚寺･西光寺の門徒衆､鉢伏城に杉浦壱岐･専修寺･真宗寺･阿波賀三郎兄弟が入ったが､一揆勢の結集は少数で、逃亡者も相つぎ､信長軍に瞬時に粉砕された。この際､西光寺丸城は織田方の稲葉一鉄・滝川一益らに攻められ､西光寺五代･真敬も討取られた。
一向一揆制圧後､越前8郡49万石は柴田勝家に与えられ､勝家が越前と近江を繋ぐ新たな栃の木峠道を整備したため､木ノ芽峠の重要性は薄れ､木ノ芽峠城砦群は廃城となった。

◆ 構造と感想

西光寺丸城は､木ノ芽峠の南東約300mの尾根の頂部および斜面に築かれている。
城の規模は南北約200m､東西約120mで､最高所に四方を高さ2～3mの分厚い土塁で囲繞した主郭を置き､主郭の北から西側にかけて帯郭を巡らせ､南側には北を除く三方を横堀で仕切った副郭を設けている。さらに南側に一段下がって堀切を隔て広い郭が置かれ､その南側は大堀切で遮断している。広い郭の東側には3本の竪堀を入れ､西側は大堀切からの竪堀を二重にしている。帯郭の下方にも横堀から2本の竪堀が落ちている。
この南への備えに対し､北側背後には堀切などの備えがなく､西光寺丸城が木ノ芽峠城の前郭であったことを示している。
主郭と副郭の付近の遺構確認は辛うじてできるが､その外は熊笹や灌木が覆っており､遺構を確認するのは困難であった。

◆ 道案内

北陸自動車道の今庄インターを下りて国道365号の南方向（滋賀県方面)へ入る。滋賀県境へ向け道なりに12．5km程走り､今庄365スキー場入口の大きな看板がある所で右折しスキー場まで登る。スキー場の駐車場を過ぎてそのまま道なりに登って行くと分岐点があり､分岐を左手に進み870ｍ程登ると右側に「木ノ芽峠城砦群」の大看板がある。見上げると峠の茶屋が見えるので､峠茶屋へ向け20ｍ程登ると､茶屋の背後上方が木の芽峠城である。ここから更に車で進むと右手に「西光寺丸登リ口」の白い標柱があり、ここが城跡への登り口である。

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副郭南下方の堀切　　　　　　　　林道からの登り口