No25204−07 北之庄城 (きたのしょうじょう)       

下段東側の枡形虎口 南側の空堀に架かる土橋

城郭の概要                  
別  名 : 深谷・岩崎山城
所在地 : 近江八幡市北之庄町・南津田町
築城年 : 室町時代
形  式 : 山城(標高254m)
遺  構 : 土塁、空堀、土橋、堀切、枡形虎口、櫓台(狼煙台)、池跡
訪城日 : 平成21年11月3日

歴   史
北之庄城に関する文献は、皆無に近いようで詳細は不明であるが、江戸時代の地志である「近江與地志略」には「・・・・阿弥陀寺繁昌の時の寺院跡なるべし。」とあり、城跡と捉えられていない。
一方、江戸時代に描かれた「八幡城址図」中には、北之庄城は佐々木六角氏の手によって、観音寺城の付城として築城されたと記されている。

構造と感想          現地説明板の縄張図

特に、下段郭は南西部に「七つ池」と呼ばれる小さな6ケ所の窪地のある平坦地に面して、北側と西側に縦10m、横15〜20mの区画が約70cmの段差で2段〜3段連なっており、これらは寺院の遺構でなかろうか。
八幡山城の北側尾根伝いを歩くこと25分程で説明板の所に至る。途中に二つのピークがあり、二つ目のピークが城跡であるが、一つ目のピーク手前の鞍部は深くて急傾斜で厳しいが、残りの良い城跡を見られたらきっと疲れを忘れ満足されるだろう。
城跡は南側最高所の上段郭と北側の一段下がった下段郭からなり、周囲を分厚い切り出し土塁が囲繞している。城の南端は、土橋の架かる見事な堀切と北東に続く空堀で尾根を断ち切り、また、城の北端は鞍部への斜面となっている。
上段郭は50m四方の方形で、高さ約1.6〜4m、幅約4mの土塁が四囲を巡り、北側に平入り虎口が開いている。南側にも通路があるが虎口ではなさそうである。北側の虎口は前面に虎口受けが備えられ、そこから下段郭へ30m程下っている。通路の両側には小さな土塁や平坦地が設けられ、通路の守りを固めている。この上・下段郭間の西側縁部にも土塁を設け、東側は切岸とし、その切岸裾には本城の最大の見所である下段郭の内枡形虎口につながる大手道が通っており、この中段部は大きな平坦面はないが郭として機能していたと見られる。
下段郭は、100m四方の大きさで、三方を土塁で囲んでいる。南東隅に先程の内桝形虎口が高さ約3mの土塁で築かれている。西と北にも一ヶ所ずつ平入り虎口が開いている。北側土塁の両端部は城外に張り出し櫓台となっており、北面からの侵入者に強力な横矢が掛かる構えである。
このように外構えが堅固であるのに対し、郭内が十分に削平されず広い平坦面を持たないのが不思議である。これは寺院を利用し城郭に改修した痕跡であろうか。

道 案 内 北東の櫓台
名神高速道竜王インターを下りて国道477号を北に4.2km程行った西横関交差点で右折し国道8号線に入る。国道8号を4.8km程北東に進むと近江鉄道に架かる袴線橋を越えると直ぐに友定交差点である。その交差点を左折して県道26号線に入り、北西に道なりに4.9km程行った短い橋(豊年橋)を渡って直ぐを左折する。左折して川沿いの道を西に300m程進むとT字路で、そこで右折し北50m先で左折する。その先40m右手が北之庄神社である。社殿の右側奥より山道を登ること45分程で城跡に至る。
なお、北之庄城へは、八幡山城の北ノ丸から北側尾根伝いに山道を行くのが、迷うことなく比較的楽に辿り着くことが出来る。

(城跡)  北之庄神社)  TOPへ 戻る