No25367−03 No25367−04
小川中ノ城 小川西ノ城
(おがわなかのじょう) (おがわにしのじょう)

小川中ノ城 背後の堀切 清光寺の背後が城跡

城郭の概要                 城郭の概要
別  名 : 別  名 :
所在地 : 信楽町小川字舟ヶ谷 所在地 : 信楽町小川字伊吹谷、西出
築城年 : 築城年 :
形  式 : 丘城 形  式 : 丘城
遺  構 : 堀切、土塁、見張り台 遺  構 : 堀切、空堀、土塁、畝状竪堀、井戸
訪城日 : 平成23年11月3日 訪城日 : 平成23年10月9日

歴   史

・・・・小川中ノ城・・・・は、造りが多羅尾地区の城館と類似しており、初期に多羅尾氏が築城した可能性が指摘されているが、詳細は不明である。
・・・・小川西ノ城・・・・は、築城年代は定かでないが小川氏によって築かれたと伝わる。その後、近衛家領信楽荘の荘官の多羅尾氏が整備したと考えられている。
なお、同氏は、15世紀代に信楽庄を支配して中央に進出し、三好氏の被官になった一族がいたと考えられ、河内国の守護代となり、永禄6年(1566)6月松永久秀に与して、淀城に籠った多羅尾常陸介は同族と見られている。


構造と感想
・・・・小川中ノ城・・・・は、信楽町小川にあり、小川西ノ城とは中手川を隔てた南側に位置している。
構造は、尾根の先端を削り込み造成され、小川城に続く背後の尾根筋に巾10mもある大規模な堀切、さらに外側に三重の堀切を設けて遮断している。堀切の内側は、巨大な掘り残しの土塁で、上面を二段に削平している。主郭は、東西40m、南北30m程の広さで、尾根の先端には一段下がって巾10m程の腰郭が付帯している。東側の谷には四段の平坦地が、その東側の二本の尾根上にも小さな連続した段郭や削平地が見られるが、城郭遺構か不明とされる。
・・・・小川西ノ城・・・・は、小川集落にあり、清光寺西側の丘陵部に位置している。中手川を隔てた南東の丘陵部には小川中ノ城が、また、小川中ノ城の東南東の山上には小川城が所在している。
小川の地は、京都から伊賀・伊勢方面への交通の要衝に位置し、勢力をのばした多羅尾氏が多羅尾からこの地に支配の拠点を移したとされ、城の遺構にも甲賀・伊賀方式から脱皮した構造が見られる。
この城が築かれる以前は、現在、城の北側の谷に所在する大光寺の前身である大興寺があったと云われ、応仁の乱を避け信楽庄に避難した近衛政家がこの寺に応仁2年(1468)8月19日から10月19日の二ヶ月間にわたり滞在したとの記録が残り、政家の対面の場となった「清故庵」は、城の東、丘陵先端部にある清光寺の位置と伝えられている。
城の構造は、南側の東へ伸びる尾根に築かれた東城と、西から北東方向に伸びる尾根に築かれた西城とに分けることができる。東城は丘陵頂部に主郭、その東側に空堀で区画しされた二郭、三郭が続く。西城は北東と北西の尾根筋を二条ずつの堀切で遮断し、北から南西に四郭、五郭、六郭が配される。両城とも連郭となっており、単郭方形を基本とする甲賀方式とは異なる構造である。
主郭は、東西70m、南北50mで南側を除く三方に土塁の痕跡が残存し、東から北側に空堀がめぐる。虎口は南側に開口している。東斜面には畝状竪堀も見られる。空堀を隔てた東側が二郭で、東西35m、南北30m、北面と東面の一部に土塁が残り、東側を除く三方に空堀がめぐる。さらに空堀を隔てた東側に三郭があり、西面を除く三方を土塁で囲繞され、西面に虎口が開口し、空堀を通路としている。これら三つの郭は、南北軸より少しずつずらせてあり、横矢が効く様にしている。なお、南側の下方に東西に細長い平坦地が付帯しているがどの部分まで城域か判断出来ないようである。
東城の北西端の鞍部を隔てて西城となる。西城は、西端頂部に東西15m、南北20mの櫓台状の六郭を置き、東側と西側に堀切を敷設している。西側の堀切の北西外50m程にもう一条堀切を設け、それらを横堀で結び「エ」の字状とする特異な形態となっている。東側の堀切を隔てて西面に櫓台状の土塁を伴った郭があり、その北東一段下がって東西35m、南北50m程の西面と北面に低土塁が残る四郭を配している。五郭は、六郭東側の堀切を南に通り抜けた南側に設けられている。四郭の北東方向60m間隔で二条の堀切を穿ち尾根続きを遮断している。

道 案 内
・・・・小川中ノ城・・・・は、新名神高速道路を下りた信楽IC交差点を右折し、国道307号を南に向かう。道なりに6.5km程行った長野交差点を右手に曲がり、そこから国道307号をさらに3.4km程行った中野交差点で左折する。市道を南東方向に道なりに1.6km程行ったT字路で右折し、県道138号線に入る。県道の南西方向570m程先のバス停のあるT字路で左折し、南方向の細い道に入る。南に110m程行き左折して直ぐの橋を渡った左手の丘陵先端上が城跡である。橋を渡って40m程の所に登り口がある。
・・・・小川西ノ城・・・・は、上記の右折で県道138号線に入って440m程先の右手側が清光寺で、その背後の丘陵上が城跡である。石段左手の坂道を上り、突き当たりから山に入る。

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小川中ノ城 東土塁 小川西ノ城 東城二郭の北面土塁
小川西ノ城 東城二郭西側横堀と土橋
小川西ノ城 東城主郭東側の竪堀
小川西ノ城 東西の城間の鞍部