No25365−43 No25365−44
上野城 油日城
(うえのじょう) (あぶらひじょう)

上野城 主郭の虎口 油日城 主郭西隅の土塁

城郭の概要                 城郭の概要
別  名 : 別  名 :
所在地 : 甲賀町油日字行田、山崎 所在地 : 甲賀町油日字風呂ヶ谷、心経田 
築城年 : 築城年 : 室町期
形  式 : 丘城 形  式 : 丘城
遺  構 : 土塁、横堀、堀切、虎口、井戸、 遺  構 : 土塁、横堀、虎口、
訪城日 : 平成25年3月30日 訪城日 : 平成25年3月9日

歴   史

・・・・上野城・・・・は、「江州佐々木南北諸氏帳」に 城主佐々木蒲生随兵 上野主膳守 同箕作随兵 上野十内左衛門 とあり、上野主膳守の城とされる。
・・・・油日城・・・・は、詳細不明であるが、この地を領有した上野氏の城郭か。


構造と感想
・・・・上野城・・・・は、甲賀町油日のうち山崎集落の北西、杣川と五反田川の合流点の東に位置し、五反田川と青野川の間を西方の杣川に向かってのびる半島状の丘陵上に築かれている。
構造は、主郭を頂点にV字状の尾根に七つの郭を連ねている。丘陵頂部に高さ3〜6mの土塁と横堀で囲繞された東西24m、南北26mの方形の「主郭」を置く。横堀は、西側で深さ約3m程あるが、東側では50cm程と浅い。土塁には二ヶ所の開口があり、東面は平入り虎口で、外に出ると左に折れて、主郭北東角の「四の郭(腰郭)へと通じている。北西面の開口は、すぐ外側が急斜面のため、虎口か否かは不明である。
主郭の北西にのびる南側の尾根筋を土塁状に削り出し、天端を巾10m程で約100mに亘り削平したのが「二の郭」で、その先端部を堀切って小規模な見張り台的な西方への眺望に優れる「三の郭」を設けている。三の郭の北面には、高さ50cm、東面には高さ1m程の土塁をめぐらしているが、西側が土砂崩れで消失しており、三の郭の全体像は不明である。
主郭の北西下、二の郭の北東下は東西50m、南北40mの城内最大の「五の郭」で、郭面はよく削平され、井戸跡も複数残り、居住性が感じられる。五の郭の北西奥は、二の郭の斜面裾から北東にのびる高さ1m程の土塁で区画された「六の郭」があり、土塁の北東端からスロープを下り郭内に入る。周囲には畦畔程度の規模の土塁をめぐらし、内部を三区画に区分し、先端から北西に突出する削平地を付帯させている。
五の郭の北東隅に高さ約1.5mの二本の土塁が、L型状に食い違いながら突出する嘴(くちばし)状虎口が開口し、北側の分岐尾根に設けたれた「七の郭」へと通じる。七の郭は50cm程の段差で二段築成され、西面と北面に土塁をめぐらし、南面には嘴状虎口に続き土塁囲みの武者溜まりを設けている。東面は道路敷設で削り取られているが、発掘調査が行われ16世紀後半から17世紀前半の土器・陶磁器類や石臼等の生活用具が出土しており、居住空間であったことが確認されている。西面の土塁は、北西から入り込む谷間に対する射撃の足がかりとなるテラス状の小段を設けている。
このように甲賀の一土豪の城の規模、縄張りとは大きく異なっており、虎口などに天正前半期頃の織豊系城郭の特徴がみられ、織田政権により改修されたか、その影響を受けて築かれたと見られている。遺構の残りも良く、規模や構造ともに見どころの多い城である。
・・・・油日城・・・・は、甲賀町油日の油日神社から300mほど南西に位置し、この地域の中心的な城である。北を杣川、南を心経田川に挟まれた丘陵上の要害の地に築かれている。
構造は、約40m四方の方形主郭と周囲に付帯する小さな帯郭や腰郭からなっている。
主郭には土塁が巡り北西、北東、南東の三ヶ所に開口があるが、北東の開口外部は急斜面で通路とは思われない。北西と南東の開口が虎口で、北西虎口の外には左に折れて下る通路が残るが、先の斜面が土取りで崖地になっており、本来の姿は不明となっている。南東虎口の先は、土塁で囲繞された虎口受けが設けられ、その南東側は横堀状の通路で、南東へ続く尾根の遮断線を兼ねて、防御を固めている。横堀状の通路は南西側に回り込んで帯郭となっている。
主郭北東側に二本の支尾根が張出し、油日神社方面から杣川を渡り、支尾根の谷間を通り、虎口受けに達するルートが主要進入路と見られ、西の支尾根上は二段に削平され、上段の西面には土塁も設けられ、西側への防備を高めている。

道 案 内
・・・・上野城・・・・は、新名神高速道を甲南インターで下りた最初の交差点である甲南IC口交差点で左折し、広域農道に入り560m程北進すると新治口交差点に至る。新治口交差点で右折して、東に2.4km程行くと突き当たりのT字路に至る。T字路を左折し360m程北東に行くと県道4号線の野尻交差点に出る。そこを右折し県道4号線に入り、南東に道なりに5.1km程行った田堵野西交差点を直進する。県道51号線に入り320m程南東に行き油日農協前交差点を直進する。県道131号に入り、道なりに真直ぐ900m程走った左手の丘陵が城跡である。登り口に説明板が建てられている。
・・・・油日城・・・・は、県道4号線の田堵野西交差点で左折し、上野集落を北に迂回するバイパスに入る。バイパスを1km程走った油日交差点で左折し、県道131号線に入る。県道131号線を東に1.3km程行った十字路で右折し、100m程先の杣川付近に路駐。杣川南岸を上流に80m程入り、左手奥の谷間を登ると城跡である。

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上野城 主郭の南東部土塁 油日城 虎口受けの土塁
上野城 五の郭北西方向
上野城 五の郭の嘴状虎口